博物館学と平和学の融合の試み―新聞を教材とした授業実践紹介―

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1、博物館学と平和学の融合の試み―新聞を教材とした授業実践紹介―榎英一（愛知文教大学教授）兼清順子（立命館大学国際平和ミュージアム学芸員）　本稿は、博物館学において実施された資料整理の授業を紹介して、平和学の授業としても活用できる可能性を考察するものである。「新聞を用いての、博物館における資料整理と展示の実習」では、博物館資料としての新聞について取り上げ、新聞が作られる場で、また、保存される場でいかに情報が失われるかを明らかにするとともに、具体的名資料整理方法を教えている。考察では、この授業の意義と平和学の

2、授業として展開する可能性やその際の留意点などをまとめた。はじめに（１）8月15日付け新聞紙（複数）を入手せよ。（２）現代史の展示として、その新聞紙を展示する展本稿の目的は、「新聞を用いての、博物館における示案を作れ。資料整理と展示の実習」として行なった学芸員課程の（３）具体的には、下記を作成し、Ａ4判1枚に記載せよ。授業の実践紹介と、この授業が平和学としても実施可①説明文500字以内（タイトル含む）。能なことを考察することである。②キャプション（モノの説明。「○年○月○日付け○新聞」といったもの）、20

3、字以内。必要枚数だけ。〈授業の概要〉　③展示方法の説明。○新聞第○面を平らに置く。○・科目名文化財実習Ａ、Ｃ記事を切り取って天井から吊す、など。図示可。・場所立命館大学文学部（４）上記（３）と新聞紙（該当記事だけでなく、全部）・日時2007年11月5日（月）1限（Ａ）、2限（Ｃ）とを一緒に封筒に入れて、休み明けに提出せよ。通年開講科目であり、学芸員課程の博物館実習（学内実習）に相当する。対象は文学部の３回生以上。た課題の意図だし、地理学、日本史学（文献史学）、考古学はそれ新聞を読ませること、考えさせるこ

4、と、また自発的ぞれの実習（地理、古文書、考古学）で代替可能なので、な博物館見学を誘導することを目的とした。あわせてこのＡ、Ｃの受講生はほとんどが文学、外国史、哲学各地からの出身学生がいることを利用し、教材として等の専攻生である。授業はＡ、Ｃそれぞれ別の学生（Ａ有用な全国紙の異版や地方紙の収集をもくろんだ。5名、Ｃ10名）を対象とし、同内容で行なった。この授業（９０分間）の目標は、学芸員として必要な資料整理および展示技法に対する理解を深め、技術２　講義・実習１（資料分類）を習得することである。（ゴチック体

5、の字は動きに関するもの）事前に夏期休暇中の課題として「新聞を用いた展示案の作成」を課しており、使用した複数の新聞紙およ（１）問い―分類とは何か？び展示案レポートを、この授業の前に提出させている。　机上に新聞紙を積み上げる。この資料はどのように分類することができるか？どのような分類方法を知っているか？　Ⅰ　授業の経過実際に博物館で行なわれている資料分類の例を紹介。分類することはどのような意味があるか？１　事前の課題提示博物館が資料を分類しなければどうなるか？2007年7月9日（夏期休暇前の最後の授業）に次

6、のような課題を提示した。－63－立命館平和研究第11号（2010.3）（２）作業１―実際に分類してみる事と差し替える。記者にとっては締切が何度もあるこ　机上の新聞紙を学生に分類させる。作業の結果、新聞とになる。高校野球の速報で印刷時点で未定のスコア社を単位とした約30の山ができた。ボードが黒く印刷されている例が分かりやすい。また誤報だった場合に、直ちに差し替える。（３）分類作業の検討自社だけのスクープの場合、他社が途中で追加しなこの分類は有効か？いように、最終版にだけ掲載する場合がある。実務上、多すぎる

7、分類項目は不便である。1分類1後になって新聞記事を検索する場合は、縮刷版を利点の資料がたくさんあるというのは、分類にならない。用する（最近は縮刷版発行中止）。しかし縮刷版は、経験上、分類は5～10程度が有効である。一群の原則として本社発行の最終版紙面である。したがって、資料を整理する場合、分類項目は、多すぎても少なす最終版に至るまでに差し替えられた記事は残らない。ぎても「整理」上の効果は薄い。また地方版も残らない。なお、誤報したことを隠すために、縮刷版のためだ（４）作業２―再度の分類けの紙面を刷って収録

8、したり、特定の記事を削除する　再度、学生に分類させる。地方紙の地域ごとの山と、全ことがあるようだ（例。朝日新聞、伊藤律架空会見記）。国紙5社（朝日、読売、毎日、産経、日経）の山ができた。地方版の情報を残すために、地方の図書館で、縮刷版だけではなく実際に発行された新聞紙本体を保存し（５）説明―分類作業の意義ている場合がある。しかしこれも、すべての版ではな新聞紙は、発行社や地域、日付などがわかりやすく、いことに注意。分類しやすい資料である。記事