第1章 古事记

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1、第1章　古事記『日本文学史』高鹏飞平山崇著編者太安万侶　生年未詳～元正天皇養老7年（723）奈良時代の名高い学者。文武・元明・元正天皇に仕える。天武天皇は『古事記』を選録しようと思っていたが、崩御した。そこで、元明天皇がその意志を引き継ぎ、太安万侶に命じてこれを完成させた。太安万侶は『日本書紀(にほんしょき)』の編集にも加わった。1979年、奈良市の茶畑より銅板墓誌(どうばんぼし)とともに太安万侶の遺骨が発見された。成立712年成立。太安万侶は元明天皇の命を受け、舎人の稗田阿礼の誦習した帝紀、本辞を筆

2、録した。翌年に『古事記』の編纂を終えた。壬申の乱に勝利した大海人皇子が、天武天皇となり、天皇律令制を完成した。帝紀・・・・・・皇室の系譜を記した文献。本辞・・・・・・皇室や民間に伝わる神話を記した文献。両者には誤りが散見されたので、天武天皇は、これらの間違いを正し、氏姓の尊卑による社会秩序を回復する目的で、定本を作った。稗田阿礼に、それを誦み習わせた。「定本を作った」というのは一説で、実証されていない。序文於是天皇詔之朕聞諸家之所帝紀及本辭既違正實多加虚僞當今之時不改其失未經幾年其旨欲滅斯乃邦家經緯王

3、化之鴻基焉故惟撰録帝紀討覈舊辭削僞定實欲流後葉時有舍人姓稗田名阿禮年是廿八爲人聰明度目誦口拂耳勒心即勅語阿禮令誦習帝皇日繼及先代舊辭（要訳：帝紀と本辞には誤りが多い。これを放置しておけば近い将来真実は滅んでしまう。修正して、正しい歴史を後世に伝えたい。そこで稗田阿礼に誦習を命じた。）性格・価値天地開闢、英雄物語、悲恋物語などの神話、伝説、歌謡。大和政権により政治的な改変を受けているものもある。歌物語風の説話、伝承、神話などを多く含み、文学性にも富んでいる。現存する日本最古の典籍として価値が高い。表記当

4、時・・・・・・まだ平仮名がない。文字はすべて漢字。序文・・・・・・正式な漢文体。序文以外・・・・・・漢字の音と訓を交ぜ合わせた変体漢文。変体漢文とは日本語的にアレンジした変則的な文法の漢文を示す。歌・・・・・・万葉仮名が使われる。一つの漢字に一つの音を当てたもの。万葉仮名の例『古事記』に収録されている和歌を１つ紹介する。（原文）夜麻登波　久爾能麻本呂婆　多多那豆久　阿袁加岐　夜麻碁母礼流　夜麻登志宇流波斯（訓読）やまとは　くにのまほろば　たたなづく　あをかき　やまごもれる　やまとしうるはし（漢字入り）

5、大和は国のまほろば　たたなずく青垣　山隠もれる　大和しうるはし内容・上巻神々の歴史から天皇の神話・説話に到る三巻からなる。112首（一説、113首）の歌謡がある。●上巻数々の神が生まれ、天地開闢から神武天皇に至る神代の物語である。天照大御神の「天の岩戸物語」、「火照命」、「火遠理命」の物語が有名。天皇を神と結びつけることで権力の正統性を強調することを意図した。内容・中巻内容・・・・・・初代神武天皇～第15代応神天皇の神話・説話倭建命・・・・・・日本古代史における伝承上の英雄。倭建命は武勇に優れたが、感

6、情が高ぶると乱暴だった。穏健な天皇は彼を自分から遠ざけようとして、倭建命に九州の熊襲、東国の蝦夷の討伐を命じた。倭建命は父の意図に気づき、嘆き悲しんだ。倭建命はその後亡くなってしまい、その魂は白鳥となって天に飛んでいく。内容●欠史八代・・・・・・第2代から第9代は実在しない。この8人の天皇は『古事記』に系譜の記載があるのみで、実績が書かれていない。一部の天皇は在位期間が異常に長く、5代孝昭天皇は82年、6代孝安天皇は101年となっている。朝廷は自国の威信のために歴史を古くさせようとして、架空の天皇を設

7、定したと考えられる。初代の神武天皇・・・・・・第10代の崇神天皇をモデルとして造形されたと見られている。『日本書紀』において、神武を「始馭天下之天皇」と記し、崇神を「御肇国天皇」と表わし、ともに「ハツクニシラススメラミコト」と読むからである。意味は「初めて国を建てた天皇」である。内容・下巻内容・・・・・・仁徳天皇～推古天皇の現実の天皇を描く。仁徳天皇の恋物語など人間的なドラマが展開される。皇室系譜の記述もしっかりしている。欠史十代・・・・・・24代～33代の10人は系譜だけで実績の記載がない。ただし、

8、『日本書紀』には記載があり、両書の叙述の違いを巡って様々な説が出ている。課題研究１．飛鳥時代について簡潔に説明しなさい。２．大化の改新という政治改革について箇条的にまとめなさい。３．天平文化について簡潔に説明しなさい。４．『古事記』の成立と主な内容を百字以内でまとめなさい。５．『古事記』の性格と文学性について簡単に論じなさい。１．飛鳥時代について簡潔に説明しなさい。飛鳥時代は、592年から710年の118年間、飛鳥に宮・都が置かれた時代を指す。飛鳥は現