窓际のトットちゃん(黑柳彻子).doc

窓际のトットちゃん(黑柳彻子).doc

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时间:2020-03-08

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1、初めての駅自由が丘の駅で、大井町線から降りると、ママは、トットちゃんの手を引っ張って、改札口を出ようとした。トットちゃんは、それまで、あまり電車に乗ったことがなかったから、大切に握っていた切符をあげちゃうのは、もったいないなと思った。そこで、改札口のおじさんに、「この切符、もらっちゃいけない?」と聞いた。おじさんは「ダメだよ」というと、トットちゃんの手から、切符を取り上げた。トットちゃんは、改札口の箱にいっぱい溜まっている切符をさして聞いた。「これ、全部、おじさんの?」おじさんは、他の出て行く人の切符をひった

2、くりながら答えた。「おじさんのじゃないよ、駅のだから」「へーえ……」トットちゃんは、未練がましく、箱を覗き込みながら言った。「私、大人になったら、切符を売る人になろうと思うわ」おじさんは、はじめて、トットちゃんをチラリと見て、いった。「うちの男の子も、駅で働きたいって、いってるから、一緒にやるといいよ」トットちゃんは、少し離れて、おじさんを見た。おじさんは肥っていて、眼鏡をかけていて、よく見ると、やさしそうなところもあった。「ふん……」トットちゃんは、手を腰に当てて、観察しながら言った。「おじさんとこの子と、一

3、緒にやってもいいけど、考えとくわ。あたし、これから新しい学校に行くんで、忙しいから」そういうと、トットちゃんは、待ってるママのところに走っていった。そして、こう叫んだ。「私、切符屋さんになろうと思うんだ!」ママは、驚きもしないで、いった。「でも、スパイになるって言ってたのは、どうするの?」トットちゃんは、ママに手を取られて歩き出しながら、考えた。(そうだわ。昨日までは、絶対にスパイになろう、って決めてたのに。でも、いまの切符をいっぱい箱にしまっておく人になるのも、とても、いいと思うわ)「そうだ!」トットちゃんは

4、、いいことを思いついて、ママの顔をのぞきながら、大声をはりあげていった。「ねえ、本当はスパイなんだけど、切符屋さんなのは、どう?」ママは答えなかった。本当のことを言うと、ママはとても不安だったのだ。もし、これから行く小学校で、トットちゃんのことを、あずかってくれなかったら……。小さい花のついた、フェルトの帽子をかぶっている、ママの、きれいな顔が、少しまじめになった。そして、道を飛び跳ねながら、何かを早口でしゃべってるとっとちゃんを見た。トットちゃんは、ママの心配を知らなかったから、顔があうと、うれしそうに笑って

5、いった。「ねえ、私、やっぱり、どっちもやめて、チンドン屋さんになる!!」ママは、多少、絶望的な気分で言った。「さあ、遅れるわ。校長先生が待ってらしゃるんだから。もう、おしゃべりしないで、前を向いて、歩いてちょうだい」二人の目の前に、小さい学校の門が見えてきた。窓際のトットちゃん新しい学校の門をくぐる前に、トットちゃんのママが、なぜ不安なのかを説明すると、それはトットちゃんが、小学校一年なのにかかわらず、すでに学校を退学になったからだった。一年生で!! つい先週のことだった。ママはトットちゃんの担任の先生に呼ばれ

6、て、はっきり、こういわれた。 「お宅のお嬢さんがいると、クラス中の迷惑になります。よその学校にお連れください!」 若くて美しい女の先生は、ため息をつきながら、繰り返した。 「本当に困ってるんです!」 ママはびっくりした。(一体、どんなことを……。クラス中の迷惑になる、どんなことを、あの子がするんだろうか……) 先生は、カールしたまつ毛をパチパチさせ、パーマのかかった短い内巻の毛を手でなでながら説明に取り掛かった。 「まず、授業中に、机のフタを、百ぺんくらい、あけたり閉めたりするんです。そこで私が、用事がないのに

7、、開けたり閉めたりしてはいけませんと申しますと、お宅のお嬢さんは、ノートから、筆箱、教科書、全部を机の中にしまってしまって、一つ一つ取り出すんです。たとえば、書き取りをするとしますね。するとお嬢さんは、まずフタを開けて、ノートを取り出した、と思うが早いか、パタン!とフタを閉めてしまいます。そして、すぐにまた開けて頭を中につっこんで筆箱から“ア”を書くための鉛筆を出すと、急いで閉めて、“ア”を書きます。ところが、うまく書けなかったり間違えたりしますね。そうすると、フタを開けて、また頭を突っ込んで、消しゴムをだし、

8、閉めると、急いで消しゴムを使い、次に、すごい早さで開けて、消しゴムをしまって、フタを閉めてしまいます。で、すぐ、また開けるので見てますと、“ア”ひとつだけ書いて、道具をひとつひとつ、全部しまうんです。鉛筆をしまい、閉めて、また開けてノートをしまい……というふうに。そして、次の“イ”のときに、また、ノートから始まって、鉛筆、消しゴム……その度に,私の目の前で、目まぐるしく、机のフタが開い

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