损益分岐点分析

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1、2012年度「企業分析論Ⅰ」第11回資料プリント2012/6/25梶原太一損益分岐点分析事業活動を存続させるための条件としての採算性企業の目的は、事業活動を維持しつつ、利益を獲得することです。しかし、利益の獲得は、他の企業との競争の中で行われるため、不幸にも儲けを出すことができないことがあります。このような環境のなかで、事業を行なっていくかどうかを判断するためには、利益と損失の境目を見極めることが重要となります。これを、事業の採算性といいます。企業が存続するためには、採算性の悪い事業の採算を改善するか、もしくは撤退するかといった判断が必要になります。採算性を判断するには、ある事業において

2、、どれくらいの売上高が上がれば採算が取れ、どれくらいの売上高に落ち込めば採算を割り込むのかを分析する必要があります。その分析手法を、損益分岐点分析といいます。損益分岐点分析は、企業分析にとどまらず、日常生活においても、採算性を判断する場面で活用することのできる分析手法です。損益分岐点とは事業の採算性は、利益と損失の境目を探ることから始まります。この境界を損益分岐点といいます。損益分岐点とは、売上高の数値の一種で、利益がゼロになる売上高のことです。したがって、正式名称は、損益分岐点売上高といいます。利益は、収益から費用を差し引いて求められます。なお、収益の大部分は売上ですので、売上高－費用

3、＝利益と言い換えることも可能です。たとえば、表1のように、あるお店の売上高と費用について、お客さんの来る数に応じて、4通りの予測があったとします。客数70人80人90人100人売上高70,000円80,000円90,000円100,000円費用80,000円85,000円90,000円95,000円利益－10,000円－5,000円0円5,000円表1とある店の客数に応じた売上と費用の予測このうち、利益がゼロになる売上高は、お客さんが90人来たときの90,000円です。この90,000円を損益分岐点と呼びます。損益分岐点売上高は、この事業が採算性をもつための最低限の売上高という意味を持ち

4、ます。33変動費と固定費の分解表1の例では、お客さんの数が変わると、売上高とともに費用の数値も変動しています。通常は、売上高が上がれば上がるほど、費用もそれに比例して増大する関係にあります。もっとも、費用の中には、売上高が上がってもそれに比例せずに増えないままの費用、というものもあります。したがって、損益分岐点分析では、費用を2種類に分けて考えることが大切となります。1つ目の費用は、売上高に比例して増減する費用です。これを変動費と呼びます。2つ目の費用は、売上高の増減と関係なく一定の費用です。これを固定費と呼びます。費用をこの2種類のものに分けることを固変分解と言います。固変分解を行うと

5、、利益の計算式は、次のように書きなおすことができます。売上高－変動費－固定費＝利益変動費の具体的な項目としては、商品の仕入費用や材料費などがあります。商品は売れれば売れるだけ、追加的に商品を用意しなければなりません。したがって、売上が増えるほど、仕入の費用も増加します。他方、固定費の具体的な項目としては、支払家賃、減価償却費、給料、水道光熱費などがあります。これは、お客さんが10人であっても100人であっても、売上高が増えても減っても、一定の金額を支払う必要がある費用になります。損益分岐点図表売上高と固定費、変動費の関係を示したものが、次の図1の損益分岐点図表です。売上高線が、変動費線を

6、追い抜く点が、損益分岐点です。ここから右の売上高だと利益が出ることになります。逆に、損益分岐点の左の売上高だと損失になります。ここが採算の分かれ目です。金額売上高線損益分岐点変動費線固定費線0売上高図1損益分岐点図表変動費率の計算売上高に対する変動費の割合を変動費率といいます。変動費率は次のように計算します。34変動費率(%)＝変動費÷売上高あるいは、1個当たりの場合は、変動費率(%)＝1単位当たり変動費÷1個当たり売上高として求めることができます。なお、変動費率から変動費を逆算する場合は、売上高×変動費率＝変動費と計算できます。これを踏まえると、先の利益の計算式は、次のように言い換える

7、ことができます。売上高－売上高×変動費率－固定費＝利益損益分岐点公式上の式について、売上高を損益分岐点売上高に、利益をゼロにすると、損益分岐点分析を行なうための最も重要な公式が導出できます。損益分岐点売上高－損益分岐点売上高×変動費率－固定費＝0この計算式を展開すると、次のようになります。損益分岐点売上高－損益分岐点売上高×変動費率＝固定費損益分岐点売上高×（1－変動費率）＝固定費公式！損益分岐点売上高＝固定費÷（1－変動費率）最後