歯周病予防最新情报

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1、№192002年9月《歯周病予防の最新情報》大阪大学歯学部・恵比須繁之教授に聞く、バイオフィルムと歯周病国民の80％が罹患しているといわれる”歯周病“の原因は「バイオフィルム」であることが、最近の研究で明らかになってきました。この聞きなれない言葉「バイオフィルム」とは何なのか。「バイオフィルム」の研究は今後の歯周病予防にどうかかわってくるのでしょうか。歯周病が「バイオフィルム」による感染症であることを解明した、歯科におけるバイオフィルム研究のパイオニアである、大阪大学歯学部・恵比須繁之教授に、バ

2、イオフィルムとは何か、歯周病とどのような関係があるのかなどについてうかがいました。恵比須繁之教授目次歯周病はバイオフィルムによる感染症だった-------------------------------1バイオフィルムの生体への影響-----------------------------------------------3口の中のバイオフィルムとは---------------------------------------------------4バイオフィルムに対抗する生態の反応が歯周病

3、を進行させる-----------5バイオフィルムの除去が歯周病予防のポイント----------------------------67これからのバイオフィルムコントロール---------------------------------------歯周病はバイオフィルムによる感染症だったバイオフィルムと歯周病の関係に着目されたのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか恵比須　1970年代に入ってから『歯周病』が細菌による感染症であることが解明され、歯科の研究者たちは抗生物質を使った化学療法

4、の研究を開始しました。研究室で培養した各種の歯周病の原因菌に対して抗生物質を作用させると、顕著な効果が認められました。そして、歯周病に対する抗生物質の臨床試験が数多く行われたのですが、実際の臨床試験では研究室での成果とは違って、歯周病の急性期以外は抗生物質があまり効かなかったのです。このような研究室での結果と臨床での効果の違いに困惑していたとき、アメリカ・モンタナ州立大学の微生物学者J.W.Costerton博士らが提唱していたバイオフィルムの概念を知りしました。複数の細菌が集まって形成されるバ

5、イオフィルムは、単体の細菌とはまったく異なる性質になるというものでした。私は、この考え方が歯周病にも当てはまるのではと考え研究を開始して、口腔内のバイオフィルム（オーラルバイオフィルム）の存在を確認することができました。単体の細菌とは異なる性質を持つバイオフィルムバイオフィルムについてもう少し詳しくご説明ください恵比須　バイオフィルムは粘性のあるフィルムで、その中に複数の種類の細菌が共存して複合体を形成し、固体の表面に付着した状態のものの総称です。いわば細菌が共同生活している集合体のようなもので

6、す。バイオフィルムは自然界のいたるところで見ることができます。身近なところでは、川底の石の表面や、排水溝などのヌルヌルがあげられます。台所の流しにある三角コーナーを汚れたまましばらく放っておくと、周囲にヌルヌルとしたものが付着しますが、これもバイオフィルムです｡これらはすべて水中で細菌が繁殖しバイオフィルムを形成したもので、水で流しただけでは取れず、こすり洗いしてようやく取り除けるほど強固に付着しています。バイオフィルムの研究はどの程度進んでいるのでしょうか。恵比須　バイオフィルムの研究は、当初

7、、海洋学分野で始まりました｡次いで、その延長線上で環境分野に広がり、水路や水槽などに発生するヌルヌルしたヘドロなどの解明が進められました｡一方、バイオフィルムが固体と液体などの境目に形成される複合体であることが解明されて行くにしたがって、人工医療用材料に起因する感染症や、難治性の慢性感染症の原因としても注目されるようになり、医学の分野でもバイオフィルムという考え方が導入されていったのです。1バイオフィルムには多種類の細菌が共生しているということですが、実際にはどのように作られるのでしょうか恵比須

8、　液体の中で細菌が固体に付着し、バイオフィルムを形成して成長する過程を下図に示します｡①液体の中で浮遊している細菌が固体に付着します｡②細菌が分泌するネバネバした物質でごく小さな集団（マイクロコロニー）をつくり上げていきます｡この段階で数種類の細菌が同じコロニー内に共生を始めます｡③コロニーが増殖してバイオフィルムに成長していきます｡次第にマッシュルームのような形に成長し、バイオフィルムの中に「水路」が造られ、これを通じて異なる細菌間で栄養分を交換したり、老廃物を取り去っています｡④成長したバイ