第15课 [ミエと指轮と夜光虫]

第15课 [ミエと指轮と夜光虫]

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时间:2019-06-19

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1、『上級で学ぶ日本語』第15課 [ミエと指輪と夜光虫]かつての教え子、ミエから一通の手紙が届いた。懐かしい筆跡で近況が記された後に、「結婚することになったのですが、出席していただけませんか」と、ミエらしく遠慮がちな文が短く添えられていた。もう数年前のことだが、担任する留学生十人ばかりと瀬戸内海の島へ一泊二日の旅に出たことがある。日中は、島の名所.旧跡を訪ね、夜は地元の民宿でお世話になった。そこの主人がとても面白い人で、心尽くしの料理が一段落すると、都会生活が嫌いでサラリーマンを辞め民宿を始めたことなど、面白お

2、かしく話してくれた。学生には、島の言葉が少し聴き取りづらかったかもしれないが、それでも巧みな話術にしばらくは時を忘れた。学生たちがちょっと疲れてきたかなと見て取ると、すかさず、「突堤へ行ってみ、今の季節、夜光虫がきれいやで」と、あくまでも主人はお客をあきさせない。「ヤコーチュー」、学生たちは一様に「それ、何」とけげんな顔をする。「百聞は一見にしかず」とばかりに、私は立ち上がり、みんなを促して夜の海へ向かった。突堤に着くと、テトラポッドを伝えって、水に手が届く所までたどり着いた。一体「ヤコーチュー」はどこから

3、出てくるのやらと、周りに学生たちが集まって来たところで、私は両手をそっと水中に入れ、それっと勢いよく水をはね上げた。夜の海に突然出現した光の乱舞に、「わあっ」と大歓声。その後は、ひとしきりテトラポッドの暗がりのそこここで、パチャパチャ、パチャパチャという水音と悲鳴に似た歓声の大合奏が続いた。突堤に陣取って夜釣りを楽しむ先客にとっては大迷惑。が、どこからも苦情が出なかったのは、テトラポッドの暗がりから聞こえてくるのが、耳慣れない言葉だったせいかもしれない。水と戯れ、夜光虫のきらめきに目を奪われているうちに、「

4、好事魔多し」を絵に描いたような事件が起こった。人一倍大声を張り上げていたミエが、突然声を出さなくなったかと思うと、「指輪がなくなった」とぽつり一言。泣き虫で甘えん坊のミエは、国にいる婚約者が贈ってくれた指輪が、いつもホームシックの寂しさを紛らしてくれていると公言していた。その大切な心のよりどころが、どうした弾みにかミエの指を擦り抜け夜の海に姿を消してしまったのだ。3『上級で学ぶ日本語』指輪の話を何度も聞かされていた学生たちは、もう夜光虫どころではなくなった。とはいえ、これといって手立てを思いつくわけでもなく

5、、しばらくは手持ちぶさたにミエを遠巻きにしてたたずんでいるばかり。それでも、両ひざに顔をうずめて肩を震わすミエの姿に促されるように、手探りで指輪探しを始めた。もとより、夜の海に沈んだ指輪が見つかるはずもなく、ミエに対する、そして、ミエに何もしてやれない自分自身に対する学生たちの気休めに過ぎなかった。学生の一人が近くにいた釣り客に懐中電灯を貸して欲しいと頼んだことがきっかけになって、釣り客たちが三々五々集まって来た。突堤の上と下とのやり取りがしばらく続いて事情が分かると、ライトでテトラポッドの暗がりを照らして

6、くれたり、「これ、使い」と懐中電灯を差し出してくれたりした。突堤を下り「どの辺でなくしたんや」と学生と一緒に指輪探しをしてくれる人もいた。しかし、指輪は出てこなかった。翌朝、目を覚えますと、驚いたことに宿はもぬけの殻。どこへ行ったんだろうと、とりあえず玄関まで出てみる。すると、朝日を背にした一団が、申し合わせたようにズボンをひざまでたくし上げ、両手に靴やサンダルをぶら上げてこちらに向かってくる。どの顔も朝の日差しに輝いている。ミエなどは昨夜とは別人のような笑顔をしている。先頭に立つ民宿の主人が、「困ったとき

7、はお互い様や」と学生を連れて突堤に向かったいきさつを話してくれた。昨年、宿に戻ってからも泣き続けるミエを見るに見かねて、空が白み始めるや否や、学生みんなを起して突堤に向かったのだという。指輪探しは不首尾に終わったということだが、指輪をなくした悲しみを自分の事として受け止めてくれたクラスメートや宿の主人の気持ちが、そして、腰をかがめながらテトラポッドの間を隅々まで探してくれた仲間の姿が、どうやらミエの心を晴らしてくれたようだ。国際うんぬんという催しが頻繁に開かれている。日本を国際かするために、日本人が国際人に

8、なれるようにと、ばく大な時間とお金が費やされてきた。様々なイベントやセミナー、シンポジウムなどで「国際」が語られてきた。国境に阻まれることなく、地球上に存在する人種、文化、肌の色、宗教等、多くの「違い」に妨げられることなく、「国境」を乗り越え、「違い」を認め合おう。私には、そのような形で提唱される国際うんぬんがどうも素直には受け入れられなかった。「そう簡単にできる事じゃない」と、職業柄そうあってはいけないのだが、

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