地球温暖化时代の海事社会

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1、地球温暖化時代の海事社会―「2050年」からのメッセージ―平成21年10月海洋政策研究財団1はじめに社会の中核を担う世代が完全に入れ替わっているであろう今から半世紀近くあと、世界の経済と社会はどうなっているであろうか。また、人類は地球や海との共生ができているであろうか。そして、海事社会はどのような姿になっているであろうか。次の世代に海事社会を健全な形で引き継いでいくためにも、世界の経済や社会などとの関わりを見据えながら、超長期的な観点から今後の姿を展望しておくことが重要であろう。人口増加と人体の安全さらに地球環境保全の調和点を探ろ

2、うとすれば、これから人類が共同でなすべきいくつかの課題が見えるはずである。残念ながら、いかに経済がグローバル化し、モノ、人及び情報がいともたやすく国境を越えるようになったとはいえ、その課題を国家間で平和的に共有できるにはまだまだかなりの歳月を要するであろう。しかしながら、海を共有する海事関係者の間であれば、一足早く国境を越えた協力、協調、共生の道に入れるかもしれない。地球環境、とりわけ地球温暖化への危惧は、持続的な発展にとって最大の制約要因になるとの前提で、当財団は21世紀半ばを見据えた海事産業像を描き、この像をこれからの海事政策

3、に投影する作業を今回試みた。その結果、2つの「提言」をとりまとめた。この提言が、世界の海事社会の持続的発展のための議論に幾ばくかの貢献をすることを願ってやまない。平成21年10月海洋政策研究財団会長秋山昌廣2目次はじめに１．提言の目的２．提言の検討方法３．2050年における世界の海事社会とその課題４．地球温暖化時代を迎える海事社会への提言提言１超低エミッション船及びゼロエミッション船の開発及び普及提言２進化する海事社会を支える国際的研究所の創設附録海上輸送に関する海洋政策研究財団の試算3１．提言の目的21世紀に入り、世界は、経済の

4、グローバル化、経済の多軸化、価値観の多様化及び地球環境問題の深刻化に直面している。このような大きな変化に対応して、これからの海事社会（海事社会は海上輸送に関係する全ての関係者と定義した。）が、21世紀中葉を目指して、どのような行動を起こすべきなのかを、今考えなければいけない。このような問題意識に立ち、超長期的観点から提言を行うこととした。２．提言の検討方法(1)前提となる2050年の世界の姿1まず、想定時点を2050年とし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が排出シナリオに関する特別報告2の中で作成した４つ主なシナリオのうち

5、、2050年までの世界の経済活動のシナリオとして現時点で最も蓋然性が高いと言われているA1Bを、選択した。同シナリオでは以下のとおり予測されている。.1世界人口は2005年の64億6,500万人から2050年には86億7,300万人まで増加（30％増）している。また、世界のGDPは2005年の44兆6,880億米ドルから2050年には193兆2,230億ドルと430％まで増加する。.2人口1人当たりGDPは、6,912ドル／人から22,280ドル／人と320％まで増加する。エネルギー消費量も、石油から天然ガスへのシフトが進み、20

6、50年の熱量(Btu：英熱量)ベースの需要総量は、2005年比3.0倍となっている。.3特にアジアについては、日本を除くアジア全体の人口は2005年の34億4,300万人から2050年には42億1,900万人まで増加（20％増加）している。また、アジア全体のGDPは2005年の3兆7,850億米ドルから2050年には58兆7,490億ドルと1550％まで増加する。.4従って、アジアの人口1人当たりGDPは、1,099ドル／人から13,924ドル／人と1270％まで増加する。このように、アジアは人口の点では世界よりも増加率が低いもの

7、の、GDPでは世界の中でも最も高いレベルで成長が図られる地域となっている。12050年は、地球温暖化対策の目標年として意識されている年であること、また、それまでに社会構造及び価値観の大きな変化を世界が経験せざるをえないことから、超長期的な検討の想定時点として適当と考えた。2この報告は、GHGの将来の増加を予測するため1996年に発行されたものであり、将来のエネルギー消費ばかりでなく各地域のGDP等の経済予測も含んでいる。http://www.grida.no/publications/other/ipcc%5Fsr/?src=/c

8、limate/ipcc/emission/4このような定量的な予測においては、世界経済の成長はグローバライゼーションと各地域の経済ブロックの成長が同時に起こることにより達成されると考えた。具体的には、アジアについて見れば、東アジアにおける経済連携が